ハニカムコアの密度と熱伝導率

Last updated:

以下の計算ツールを用いることで、ハニカムコアの実効密度と実効熱伝導率を推定することが出来ます。 ハニカムコアの寸法を入力し、コア材料の密度と熱伝導率を設定してください。

honeycomb-conductivity-1 Figure 1: Honeycomb Core Dimensions.

実効密度と実効熱伝導率の推定方法

ハニカムパネルは、軽量・高剛性な優れた構造材料として宇宙分野でもよく用いられるが、軽量であるがゆえ熱伝導率はサイズに対して低く、剛性と同様に方向に依存した特性を持つ。 人工衛星等のシステムの一部としてハニカムパネルの熱解析をする際には、ハニカムコアの形状をそのままモデル化するのは現実的でないので、ハニカムパネルとして等価な密度・熱伝導率を事前に計算して、材料パラメタとしてモデルに入れ込んでやる必要がある。

ハニカムコアの実効密度と実効熱伝導率を推定する場合、コアの寸法から各方向の熱伝導率を計算する方法[1]が最も一般的である。 今回はFigure 1に示すようにコアの形状は正六角形とするが、特定の方向に潰れた六角形だったりしても基本的な考え方は同じである。 また、ハニカムコアはシート状のコア材料を整形して貼り合わせて作るので、コア壁面の厚さは方向によって異なる。

まず、密度ρeff\rho_{\mathrm{eff}}に関しては、 水平方向の断面を見たときの、コア材料の占める割合を考えればよい。

Reference Area:S2×(S23+S3)=34S2\begin{equation} \mathrm{Reference~Area:}\quad \frac{S}{2} \times \left( \frac{S}{2\sqrt{3}} + \frac{S}{\sqrt{3}} \right) = \frac{\sqrt{3}}{4}S^2 \end{equation} Core Material Area:δ×(S3+S3)=23Sδ\begin{equation} \mathrm{Core~Material~Area:}\quad \delta \times \left( \frac{S}{\sqrt{3}} + \frac{S}{\sqrt{3}} \right) = \frac{2}{\sqrt{3}}S\delta \end{equation} ρeff=23Sδ×ρ34S2=8δρ3S\begin{equation} \rho_\mathrm{eff} = \frac{\frac{2}{\sqrt{3}}S\delta \times \rho}{\frac{\sqrt{3}}{4}S^2} = \frac{8\delta \rho}{3S} \end{equation}

厚み方向の熱伝導を、コア材料の熱伝導率kkと、厚み方向の実効熱伝導率kHk_Hを用いてそれぞれ表す。

k×23Sδh=2kSδ3h[W/K]\begin{equation} \frac{k\times \frac{2}{\sqrt{3}}S\delta}{h} = \frac{2kS\delta}{\sqrt{3}h}\quad[\mathrm{W/K}] \end{equation} kH×34S2h=3kHS24h[W/K]\begin{equation} \frac{k_H\times \frac{\sqrt{3}}{4}S^2}{h} = \frac{\sqrt{3}k_H S^2}{4h}\quad[\mathrm{W/K}] \end{equation}

これらが等しいので、厚み方向の実効熱伝導率kHk_Hは次のように表される。

kH=83kδS\begin{equation} k_H = \frac{8}{3} \frac{k\delta}{S} \end{equation}

面内方向の熱伝導率についても同様の手順で求められる。 L方向の熱伝導を、コア材料の熱伝導率kkと、L方向の実効熱伝導率kLk_Lを用いてそれぞれ表すと次のようになる。

k×δh23S=3kδh2S[W/K]\begin{equation} \frac{k\times \delta h}{\frac{2}{\sqrt{3}}S} = \frac{\sqrt{3}k\delta h}{2S}\quad[\mathrm{W/K}] \end{equation} kL×S2h32S=kLh3[W/K]\begin{equation} \frac{k_L\times \frac{S}{2}h}{\frac{\sqrt{3}}{2}S} = \frac{k_L h}{\sqrt{3}}\quad[\mathrm{W/K}] \end{equation}

これより、L方向の実効熱伝導率kLk_Lは次のように表される。

kL=32kδS\begin{equation} k_L = \frac{3}{2} \frac{k\delta}{S} \end{equation}

W方向の熱伝導は、コア材料の熱伝導率kkと、W方向の実効熱伝導率kWk_Wを用いると次のように表される。

k×δh23S=3kδh2S[W/K]\begin{equation} \frac{k\times \delta h}{\frac{2}{\sqrt{3}}S} = \frac{\sqrt{3}k\delta h}{2S}\quad[\mathrm{W/K}] \end{equation} kW×h(S23+S3)S=3kWh2[W/K]\begin{equation} \frac{k_W\times h\left(\frac{S}{2\sqrt{3}} + \frac{S}{\sqrt{3}} \right)}{S} = \frac{\sqrt{3}k_W h}{2}\quad[\mathrm{W/K}] \end{equation}

これより、W方向の実効熱伝導率kWk_Wは次のように表される。

kW=kδS\begin{equation} k_W = \frac{k\delta}{S} \end{equation}

References

  1. David G. Gilmore, “Spacecraft Thermal Control Handbook. Vol. 1: Fundamental Technologies”, The Aerospace Corporation Press, California, 2002

関連記事

バイメタル変形の解析解

材質の異なる薄板を張り合わせると、常温では平らだったものが、温度を変化させると“そり”が生じてしまうことがあります。これは各材質が異なる熱膨張率を持っていることに起因する変形で、このような材料をバイメタルと呼びます。