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管内流れを議論する場合、円筒座標系で表した流体力学の基礎方程式が必要になる。
基本的には、これまでに導出した連続の式およびナビエ・ストークス方程式に対して、円筒座標系のナブラとラプラシアンを代入してやればよい。
円筒座標系での連続の式
連続の式は以下のように表すことが出来る(レイノルズの輸送定理と連続の式)。
∂t∂ρ+∇⋅(ρv)=0
また、円筒座標系でのナブラ∇は次のように表すことができる(円筒座標・極座標のナブラとラプラシアン)。
∇=er∂r∂+eθr1∂θ∂+ez∂z∂
円筒座標系での連続の式を得るには、(1)に(2)をそのまま代入してやればよい。
∂t∂ρ+r1∂r∂(rρvr)+r1∂θ∂(ρvθ)+∂z∂(ρvz)=0
円筒座標系のナビエ・ストークス方程式
ナビエ・ストークス方程式は以下のように表すことができる(ナビエ・ストークス方程式の導出)。
ただし、ζは体積粘性率(bulk viscosity)、ηせん断粘性率(shear viscosity) である。また今回は、重力などの流体質量に直接働く力はないものとする。
ρ∂t∂v+ρv⋅∇v=−∇p+ηΔv+(ζ+31η)∇(∇⋅v)
また、円筒座標系でのラプラシアンは次のように表すことができた(円筒座標・極座標のナブラとラプラシアン)。
Δ=∂r2∂2+r1∂r∂+r21∂θ2∂2+∂z2∂2
よって(4)に(2)と(5)を代入すれば、円筒座標系でのナビエ・ストークス方程式が得られる。
ρ∂t∂(vrer+vθeθ+vzez)+ρ(vr∂r∂+rvθ∂θ∂+vz∂z∂)(vrer+vθeθ+vzez)=−(er∂r∂p+eθr1∂θ∂p+ez∂z∂p)+η(∂r2∂2+r1∂r∂+r21∂θ2∂2+∂z2∂2)(vrer+vθeθ+vzez)+(ζ+31η)(er∂r∂+eθr1∂θ∂+ez∂z∂)(∂r∂vr+rvr+r1∂θ∂vθ+∂z∂vz)
ただし、粘性項に含まれる(∇⋅v)については以下のように展開した。
∇⋅v=(er∂r∂+eθr1∂θ∂+ez∂z∂)⋅(vrer+vθeθ+vzez)=er⋅∂r∂(vrer)+er⋅∂r∂(vθeθ)+ez⋅∂r∂(vzez)+eθ⋅r1∂θ∂(vrer)+eθ⋅r1∂θ∂(vθeθ)+eθ⋅r1∂θ∂(vzez)+ez⋅∂z∂(vrer)+ez⋅∂z∂(vθeθ)+ez⋅∂z∂(vzez)=∂r∂vr(er⋅er)+∂r∂vθ(er⋅eθ)+∂r∂vz(er⋅ez)+eθ⋅r1(er∂θ∂vr+vreθ)+eθ⋅r1(eθ∂θ∂vθ−vθer)+r1∂θ∂vz(eθ⋅ez)+∂r∂vr(ez⋅er)+∂z∂vθ(ez⋅eθ)+∂z∂vz(ez⋅ez)=∂r∂vr+rvr+r1∂θ∂vθ+∂z∂vz
これをr成分、θ成分、z成分に分けて書き下すと以下のようになる。
ρ∂t∂vr+ρvr∂r∂vr+ρvθr1∂θ∂vr−ρrvθ2+ρvz∂z∂vr=−∂r∂p+rη∂r∂(r∂r∂vr)+r2η∂θ2∂2vr−r22η∂θ∂vθ−ηr2vr+η∂z2∂2vr+(ζ+31η)∂r∂(∂r∂vr+rvr+r1∂θ∂vθ+∂z∂vz)
ρ∂t∂vθ+ρvr∂r∂vθ+ρvθr1∂θ∂vθ+ρrvθvr+ρvz∂z∂vθ=−r1∂θ∂p+rη∂r∂(r∂r∂vθ)+r2η∂θ2∂2vθ+r22η∂θ∂vr−ηr2vθ+η∂z2∂2vθ+(ζ+31η)r1∂θ∂(∂r∂vr+rvr+r1∂θ∂vθ+∂z∂vz)
ρ∂t∂vz+ρvr∂r∂vz+ρvθr1∂θ∂vz+ρvz∂z∂vz=−∂z∂p+rη∂r∂(r∂r∂vz)+r2η∂θ2∂2vz+η∂z2∂2vz+(ζ+31η)∂z∂(∂r∂vr+rvr+r1∂θ∂vθ+∂z∂vz)
軸対称・非圧縮などの場合について
ナビエ・ストークス方程式をそのままの形で扱うのは難しいので、扱う問題に応じて適切な簡略化がしばしば行われる。
ここでは、いくつかの仮定をおいた場合、連続の式とナビエ・ストークス方程式がどう変形されるかを確認しておく。
旋回のない軸対称問題vθ=0であれば、連続の式とナビエ・ストークス方程式は以下のように簡略化できる。
∂t∂ρ+r1∂r∂(rρvr)+∂z∂(ρvz)=0
ρ∂t∂vr+ρvr∂r∂vr+ρvz∂z∂vr=−∂r∂p+rη∂r∂(r∂r∂vr)−ηr2vr+η∂z2∂2vr+(ζ+31η)∂r∂(∂r∂vr+rvr+∂z∂vz)
ρ∂t∂vz+ρvr∂r∂vz+ρvz∂z∂vz=−∂z∂p+rη∂r∂(r∂r∂vz)+η∂z2∂2vz+(ζ+31η)∂z∂(∂r∂vr+rvr+∂z∂vz)
さらに半径方向にも一様である場合、一次元流れとして以下のように簡略化できる。
∂t∂ρ+∂z∂(ρvz)=0
ρ∂t∂vz+ρvz∂z∂vz=−∂z∂p+(ζ+34η)∂z2∂2vz
圧縮性を考慮しないρ=constの場合、連続の式とナビエ・ストークス方程式は以下のように表される。
このとき、粘性係数はηのみとなり、動粘性係数ν=η/ρを用いることも多い。
r1∂r∂(rvr)+r1∂θ∂vθ+∂z∂vz=0
ρ∂t∂vr+ρvr∂r∂vr+ρvθr1∂θ∂vr−ρrvθ2+ρvz∂z∂vr=−∂r∂p+rη∂r∂(r∂r∂vr)+r2η∂θ2∂2vr−r22η∂θ∂vθ−ηr2vr+η∂z2∂2vr
ρ∂t∂vθ+ρvr∂r∂vθ+ρvθr1∂θ∂vθ+ρrvθvr+ρvz∂z∂vθ=−r1∂θ∂p+rη∂r∂(r∂r∂vθ)+r2η∂θ2∂2vθ+r22η∂θ∂vr−ηr2vθ+η∂z2∂2vθ
ρ∂t∂vz+ρvr∂r∂vz+ρvθr1∂θ∂vz+ρvz∂z∂vz=−∂z∂p+rη∂r∂(r∂r∂vz)+r2η∂θ2∂2vz+η∂z2∂2vz
旋回のない軸対称問題vθ=0であれば、以下のように簡略化できる。
r1∂r∂(rvr)+∂z∂vz=0
ρ∂t∂vr+ρvr∂r∂vr+ρvz∂z∂vr=−∂r∂p+rη∂r∂(r∂r∂vr)−ηr2vr+η∂z2∂2vr
ρ∂t∂vz+ρvr∂r∂vz+ρvz∂z∂vz=−∂z∂p+rη∂r∂(r∂r∂vz)+η∂z2∂2vz